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2024年度日本語教育インターンシップを実施しました

本事業では、北陸地域での日本語教育実習・インターンシップの調整を、関係各機関と連携して行っています。

2024年度は、(公財)石川県国際交流協会専門学校アリス学園を実習生受け入れ先として、日本語教育インターンシップを実施しました。

概要

受入機関石川県国際交流協会専門学校アリス学園
期間2024年8月26日~8月30日2024年9月2日~9月6日
参加者数4名2名
内容 ・協会事業の説明
・日本語研修生への日本語授業の見学・参加、
文化体験の見学・職員業務補助
・日本語教室、日本語研修プログラム業務補助
・多文化共生イベントの出展ブース企画
・学校概要、業務紹介
・授業見学、学生寮見学、進学指導見学
・日本語教員業務補助
・授業準備、実践、ふり返り

[写真:石川県国際交流協会でのインターンシップにおいてインターンシップ生が作成した、「多文化共生フェスタ」での「やさしい日本語」ブース展示品]

報告会

2024年度日本語教育インターンシップの報告会が2024年10月22日於金沢大学第二講義棟301教室で行われた。

当日は金沢大学国際学類の学生、国際学類日本語教育プログラム教員の他、外部の日本語教育関係者にもお越し頂いた。報告を聞いた教員の感想としては、インターンシップに赴いた学生は皆、日本語教育の現場を実地体験したことで、日本語教師になる動機が益々強まったと感じられた。

なお、この場を借りて、インターンシップ学生を受け入れてくれた石川県国際交流協会・専門学校アリス学園に深く感謝する次第である。(清水邦彦)

学生による報告書

佐野 すぐり

(国際学類グローバルDEIプログラム3年生)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会
  • インターンシップ期間:2024年8月26日~8月30日

8月26日から8月30日の5日間の期間において公益財団法人石川県国際交流協会でのインターンシップに参加した。事業説明、IJSP(Ishikawa Japanese Studies Program)という石川県日本語・日本文化研修プログラムの内容である文化体験と日本語研修の見学、9月15日に行われた多文化共生フェスタにおけるやさしい日本語・防災展示に関するパネル・ブースの準備、各課の方々との懇談、石川国際交流ラウンジへの訪問を行った。

やさしい日本語が大切なことはなんとなく授業でも知っていても、外国人住民が急激に増加する中で普及を図ることが本当に急務であることを知り、多文化共生フェアといった大きなイベントは個人では行うことはできないが、周知していくことや自身が外国人に接するときにはやさしい日本語を用いるなどが重要だと思った。出展ブース企画をみんなで協力して完成させることができたことから、複数人で一つものを達成するためにはそれぞれの強さを生かし、弱さを補うことがかかせないことを学んだ。多文化共生フェア当日は参加することができなかったが、後日当日の様子を映した写真と盛況だったとの報告をいただき、役に立ててよかったと思うとともに達成感が得られた。最初は勇気がなく、石川県日本語・日本文化研修プログラムに参加している研修生に話しかけることができなかったが、最終日になってたくさん話すことができ、もう少し早く行動を起こせばよかったと後悔したことから、留学中や新しく人と出会う場所に行った際は積極的に話しかけ、コミュニケーションをとりたい。現役の日本語教師から日本語教師や日本語教育に関わる職などの就職事情などをお話ししただき、就職をより現実的なものとして考えられる良い機会になったとともに、情報収集を行うことが大切だと感じた。現場には授業では学べないたくさんのものがあるため、そこでしかできないことを経験することの重要性を再認識したことから、今後も様々なことにチャレンジしたい。

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川崎 胡々音

(国際学類日本語教育プログラム3年生)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会
  • インターンシップ期間:2024年8月26日~8月30日

将来日本語教師として働きたいと考えているため、日本語教育の現場(特に石川県国際交流協会のような学校以外の日本語教育現場)について知りたいと思い参加した。

各課(総務管理課、交流推進課、にほんご課の3つの課)の事業内容について、初めはそれぞれ異なる仕事を受け持っていてそれぞれある程度独立して業務をされているのではないかと考えていたが、各課の職員の方からの事業概要の説明から、各課は互いに連携をして分担するような形で仕事をされているということを知った。イベント企画などについても予算等を総務管理課に、イベント内容の計画等を日本語課に、参加者の募集等を交流推進課にというように分担して一つの企画を進められているというのが印象的だった。

石川県国際交流協会にはIJSP(石川県ジャパニーズ・スタディーズ・プログラム)というプログラム(このプログラムは外国から来られた研修生にホームステイと日本語の授業と文化体験を行ってもらうというもの)があり、今回のインターンシップでは私たちも数回参加させていただいた。特に文化体験に帯同させていただいた時に感じたこととして、文化体験の実施を通じて日本語能力の向上だけでなく、日本、そして石川県をもっと好きになってもらうということが重要であると改めて気づかされた。

今回のインターンシップでは「多文化共生フェスタ」の出展ブース企画というのを任せていただき、その中で「やさしい日本語」をテーマにブースに展示するものを制作した。その中で日本語課の職員の方から石川県が「やさしい日本語」の普及にどのように取り組んでいるのかということを教えていただいた。石川県では「やさしい日本語」が知られるようになってから割と早い段階から「やさしい日本語」の普及が各市町で行われてきたという歴史もあり、トップダウンの形ではなく、ボトムアップの形で取り組みが進められてきたという話を聞いて、その地域の状況に合わせた普及の仕方を考えることの重要性を学んだ。

5日間という短い期間ではあったが、インターン生として企業の一員としてお仕事に関わらせていただいたことで社会の一員として働くということについて具体的にイメージがしやすくなった。また、私自身、将来日本語教育に関わる仕事に就きたいと考えており、これまでは日本語教師という職業にしか目を向けられていなかったが、石川県国際交流協会でのインターンを通じて日本語教師以外にも日本語教育に関わるお仕事はたくさんあるということを学び、自身の将来の視野を広げることにもつながった。今回のインターンシップで得た経験を今後の自分の将来の選択に生かしていきたい。

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藤井 真子

(国際学類日本・日本語教育コース4年生)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会
  • インターンシップ期間:2024年8月26日~8月30日

国際交流協会がどのような日本語の授業を行っているか、そしてIJSPという制度で来日した留学たちがどのような生活を日本で送っているのか、とても興味があったので参加した。また、卒業後、日本語教師になることも考えていたので、日本語教師の働き方やその現場を見て、実際に働く人に話を聞きたかったので参加した。

実際に日本語教師の働き方ややりがい、日本語教師の現在の需要について聞くことができ、より日本語教師という職業についての知識が増えた。実際に働いている人を見ることで自分の将来について考えることができた。また、ブース出展を実際に企画から制作までインターン生に任せていただいたため、チームで協力して一つのものを作り上げる良い経験になった。さらに題材が「やさしい日本語」であったことから、自分たちで「やさしい日本語」について調べて、より理解を深めることができた。当日会場に行くことはできなかったが、後日多くの人が自分たちの作ったブースに足を運んでいたことが分かり、とても達成感を感じた。何より、IJSPの学生と交流ができ、今回はヨーロッパから多くの留学生が来ていたが、日本をどのように捉えているのか、彼らの興味関心に触れられてとても充実していて、豊かな国際交流の時間を持つことができた。今回のインターンで熱意をもって日本語学習者や日本に住む外国人の生活支援に携わっている方々に会うことができ、自身もこのように日本で生活する外国人がより住みやすい環境づくりに貢献したいと思うようになった。たくさん現場の方から話を聞けたことで、自分のやりたいことや、大事にしたいことがより明確になったように感じる。またチームでひとつのものを作り上げた経験は今後のキャリアや生活の中でも糧になると感じる上、職場の多国籍なスタッフとの交流は、その国や文化を知るきっかけとなり、今後出会う人とのコミュニケーションに大きく幅を持たせてくれるものだったと思う。この経験をもとに自分の進路や働き方を考え、就職活動に活かしたい。

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別所 瑠璃

(国際学類日本語教育プログラム3年生)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会
  • インターンシップ期間:2024年8月26日~8月30日

インターンシップの内容は以下の通りである。IJSP開講式見学、総務管理課・交流推進課・にほんご課の方々からの事業概要説明、IJSP文化体験同行(兼六園、時雨亭、金箔張り)、職員の方々との懇談、「多文化共生フェスタ」出展ブース企画・準備、IJSP県庁表敬同行、IJSP授業見学・参加、石川国際交流ラウンジ見学。

今回のインターンシップを通して、石川県国際交流協会が実施している様々な取り組みについて(ヒューマンライブラリー、IJSP等)学ぶことができたと共に、日本語教育分野への就職事情や石川県における日本語教育の現状を、大学で学んだ視点とは異なる角度から見ることができた。また「国際交流としての日本語教育」とは一体どういうものなのか、知ることができた。インターンシップの中で訪れた石川国際交流ラウンジでは、ラウンジの見学や担当者の方との懇談を通して、石川県の日本語教育に関する深い歴史を学ぶことができた。またIJSPの授業見学では、学習者のレベルに合った語彙コントロールの必要性を改めて実感することができた。今回のインターンシップでは、9月15日に石川県立図書館で開催された「多文化共生フェスタ」のパネル・ブース展示の一部分、「やさしい日本語」に関するブースの企画・準備がメインの仕事の1つであったのだが、「やさしい日本語」とはどういうものなのか、改めて学ぶ良い機会であったし、全ての人に楽しんでもらえる展示にするためにはどうすれば良いのかなど、日本語教育に関係することではないが、働くときに必要となるであろう力も身に付けることができたのではないかと考える。また「やさしい日本語」について、石川県国際交流協会の方と話す中で、「やさしい日本語」が石川県のみならず多くの地域で重要視されていることを改めて実感し、IJSP研修生として石川県国際交流協会に来ていたイタリア、ドイツ、フランスの大学生たちとも、授業や文化体験を通して交流することがあったのだが、各研修生との交流から、相手のことを思いやりながら話す「やさしい日本語」の重要性を改めて実感した。また相手が話した単語が分からなかったときどう聞けば良いのか、また逆の立場の場合どう説明することがより良いコミュニケーションに結び付くのか、学ぶことができた。大学だけでは得られなかった多くの知識や考え、現状を学ぶことができた、非常に充実した2週間であったと考える。

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田中 乃愛

(国際学類日本語教育プログラム3年生)

  • インターンシップ先:専門学校アリス学園日本語学科
  • インターンシップ期間:令和6年9月2日~9月6日

今回のインターンシップでは、アリス学園にて日本語教師の職務を幅広く学ぶ機会を得た。5日間の経験を通して得た数々の発見や気づきを以下にまとめる。

まず初日は、日本語教師の業務範囲の広さに驚かされた。単に日本語を教えるだけでなく、学習者の就職支援や進学支援、生活全般にわたるサポートも業務の一部であることを学んだ。特に、学習者の願書作成の場面を見学した際には、媒介語が使用されていても一人で記入するのが難しい様子が見受けられ、日本語教師として学習者の困りごとを先回りして支援することの重要性を痛感した。

2日目は、タブレットを用いた授業を見学した。デジタルツールの活用によって、授業課題の提出状況を迅速に把握し、個別対応がしやすい点が印象的であった。また、初日の緊張がほぐれ、学習者と積極的にコミュニケーションを取ることができた。さらに、学生寮を見学した際、日本と異なる生活習慣が問題を引き起こす可能性があると感じ、生活指導やマナー教育も日本語教師の重要な役割であることを再確認した。

3日目は、複数のクラスを見学し、授業の雰囲気づくりの重要性を実感した。どのクラスも学習者同士が助け合い、笑顔が多く見られた。こうした良好な授業の雰囲気は、教師が授業外でも学習者との関係を築いているからこそ生まれるものであると感じた。JLPT(日本語能力試験)の授業では、学習者が高度な日本語を使いこなしていることに感心した。学習者のレベルに応じて語彙を調整する必要性を感じたが、アリス学園の生徒は高い日本語能力を持ち、通常のネイティブ日本語でも十分に理解できるようであった。

4日目は、授業サポートや教材作成など、教師の裏方業務を体験した。教材の準備や印刷作業には多くの時間がかかり、授業以外にも多岐にわたる業務があることを実感した。また、専任教員との対話では、授業見学で抱いた疑問点を解消し、教師の意図的な指導方法について深く学ぶことができた。教師側の視点を持つことで、授業中の言葉や行動に込められた意図を理解し、非常に有意義であった。

最終日には、実際に授業を行う機会があった。授業見学を通じて得た知識を活かし、私たちらしい授業を展開することができた。日本語学科の先生方の支援により無事に授業を終えることができたが、今後は学習者一人一人のレベルを正確に把握し、さらに円滑な授業進行ができるよう努める必要があると改めて感じた。

今回のインターンシップを通して、日本語教師の職務は単に言語を教えるだけでなく、学習者の生活全般を支える重要な役割を担っていることを学んだ。デジタルツールの活用や授業準備の大変さ、学習者とのコミュニケーションの重要性など、多くの実践的な経験ができたことは、今後の教育実習や日本語教師としてのキャリアに大きく活かしていくことができると考える。

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中島 南深

(国際学類 日本語教育プログラム3年生)

  • インターンシップ先:専門学校アリス学園日本語学科
  • インターンシップ期間:2024年9月2日~6日

私は2024年9月2日から6日までの5日間、金沢市にある専門学校アリス学園でインターンシップをさせていただいた。私がこのインターンシップに参加した目的は、日本語学校での授業のようすや働いている方々のようすを実際に見て学びたいと思ったからである。

具体的な内容としては、はじめにアリス学園の教育理念や方針について学び、その後3日目までは授業見学を中心に、進路指導見学、寮見学など学生の様子について学んだ。4日目は教員の皆さんの業務補佐を、最終日の5日目には実際に授業をさせていただいた。

インターンシップ全体を通して学んだことは、大きく二つある。一つは、日本語学校の教師は留学生の人生そのものをサポートしているということである。インターンシップに参加する前は、日本語教師の仕事として日本語を教えること以外どんなことがあるかを考えたことがなかったし、日本語の授業が大半だと思っていた。しかし実際はそうではなく、アリス学園において専任で働く方々は週に一つか二つくらいしか日本語の授業を担当していないと聞いた。実際の仕事としては、学生の日本での生活や金銭管理、進路指導、公的な手続き、勉強の方法を教えるといった学生のサポートや授業準備などが大半であった。学生の生活、人生をサポートすることは責任が大きいしとても大変なことだが、だからこそやりがいのある素敵な仕事だと感じた。二つ目は、アリス学園が教育のトレンドを取り入れた最先端の学校だということである。「日本語教育の参照枠」に基づいた教育をしっかりとおこなうため、行動中心アプローチで一貫した授業方針を共有しており、学生が「社会的存在」として日本で生活することを目指した、日本語を使って自分の考えを表現する授業なども充実している。現在ではまだ多くない、課題遂行型、Can-doベースで授業を行っていて、教室は常にグループスタイルをとっている。「人々の幸せを追求し生きる力をはぐくむ」という教育理念に沿ったテキスト「いろどり 生活の日本語」を採用することで、実用性のある日本語を教えるとともに、学生を自律学習に向かわせるための様々な工夫が行われており、新しいことをどんどん取り入れている進んだ教育環境であると感じた。

今回のインターンシップを通して、日本語学校という現場を初めて経験することができた。日本語教育が行われる場としてはさまざまな形態があり、地域の日本語教室やボランティアなどは自分が希望すれば参加することができるが、日本語学校は簡単に見させていただくことはできない場所だと思うので、本当に貴重な経験をすることができた。日本語教育の実践的な経験をしたくて金沢大学に進学したので、石川県でも大きくかなり進んだ日本語学校であるアリス学園でインターンシップをしたことは、今後どのような日本語教育現場に携わっても活きてくると感じている。今回得た知識や学びを、これからの日本語教育実習や社会に出たときも大切にしたい。

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