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報告書掲載

2025年度日本語教育インターンシップを実施しました

本事業では,北陸地域での日本語教育実習・インターンシップの調整を関係各機関と連携して行っています。

2025年度は,石川県,富山県,東京都の日本語学校,国際交流協会に実習生を受け入れていただいて日本語教育インターンシップを実施し,その報告会を11月4日(月)に行いました。報告会に併せて,インターンシップ受け入れ機関の一つである東京早稲田外国語学校の方による学校説明会もありました。

今回のインターンシップは,学生が,日本語教師の業務の幅広さや多様なキャリアの可能性を知る良い機会となったようです。

インターンシップ生を受け入れてくださった各機関の皆さまには大変お世話になりました。ありがとうございました。

インターンシップ概要

受入機関:石川県国際交流協会

期間2025年9月2日~5日,7日
参加者数2名
内容 9/2~9/4
  • 事業概要の説明
  • 日本語授業の見学・参加
  • 文化体験の引率補助
  • 「多文化共生フェスタ」の準備作業,出展ブースの企画準備
9/5
  • 「多文化共生フェスタ」会場設営,運営全般補助,撤収作業
  • 出展ブースのコーナー運営,ステージイベント出演
インターンシップ生の報告 柴田彩巴さん玉置咲歩さん

受入機関:専門学校アリス学園 日本語学科

期間2025年9月8日~12日
参加者数1名
内容
  • 授業見学
  • 研修①専門学校アリス学園と日本語学科の業務紹介
  • 研修②ICT・生活指導について/授業準備について
  • 研修③日本語教師としての業務説明
  • アルバイト会議見学,学科会議見学
  • 寮の見学
  • 職員業務補佐
  • 遠足参加
インターンシップ生の報告 藤白涼子さん

受入機関:専門学校ファースト学園金沢校

期間2025年9月4日~10日
参加者数1名
内容
  • 留学生の受け入れ業務,生活支援の説明
  • 授業見学,授業補助
  • 座談会
  • アパート見学 等
インターンシップ生の報告 杉森心奏さん

受入機関:富山国際学院

期間2024年8月25日~29日
参加者数1名
内容 日本語教師の一連の業務の体験(例:授業見学,宿題採点,模擬授業)
インターンシップ生の報告 山元琉聖さん

受入機関:東京早稲田外国語学校 本校

期間2025年9月1日~5日
参加者数1名
内容
  • 校内見学
  • 授業見学
  • 業務の説明
  • 初級授業の進め方のレクチャー
  • 教案作成,実施
インターンシップ生の報告 山田あぐりさん

報告会学生による報告

柴田 彩巴

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会

将来,日本語教育に携わる仕事に就くことを視野に入れているため,インターンシップを通して自身の将来像をより具体化することを目的に参加した。また,日本語教育の実践現場を体験し,教育現場の実際を理解することで,学びのイメージをより明確にすることを目標とした。

主な活動内容は,石川県国際交流協会の各課による事業説明の聴講,IJSP(石川ジャパニーズ・スタディーズ・プログラム)の授業見学・文化体験帯同,「多文化共生フェスタ」における出展ブースの企画・運営などである。協会は総務管理・交流推進課・にほんご課の三課で構成されており,外国人への支援だけでなく,日本人に対しても多文化理解を促す取り組みを行っていることを学んだ。双方に働きかけることで多文化共生を実現しようとする姿勢に強く感銘を受けた。

特に印象に残ったのは,海外の大学生がホームステイをしながら日本語と文化を学ぶIJSPである。授業見学や文化体験への参加を通して学生と交流する中で,語学学習に加えて書道や太鼓などを通じた文化体験の機会が多く,言語と文化を一体的に学ぶ教育の重要性を実感した。その背景には,言語面の学びだけでなく,学習者が興味を持ちやすい文化的要素も取り入れることで,より深い学びにつなげたいという願いが込められていると感じた。また,こうした体験がプログラムとして体系的に用意されていることで,学習者に充実した滞在を提供できる点にも大きな意義があると考えた。

また,多文化共生フェスタでは「やさしい日本語」をテーマにしたブースを企画・運営した。一般来場者が楽しく学べるよう企画を工夫しながら準備を進めたが,当日の運営を通して「やさしい日本語」の認知度がまだ低いことを痛感した。やさしい日本語は外国人のためだけでなく,日本人も含めた誰もが使うことのできる言葉であり,その「伝える側」になれる人を増やす必要があると感じた。

今回の経験を通じて,日本語教育に限らず,多文化共生や国際交流など幅広い分野に関心が広がった。教育現場での学びを基盤にしながらも,将来の可能性を多方面に見出す契機となったと感じている。

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玉置 咲歩

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:石川県国際交流協会

将来,国際交流や日本語教育に携わりたいと考えており,中でも行政に近い国際交流協会ではどのような取り組みが行われているのか興味があるため,参加させていただいた。

石川県国際交流協会には交流推進課,にほんご課,総務監理課の3つの課があり,それぞれ国際交流・多文化共生,日本語・日本文化研修,国際交流施設の管理運営を行っていることを学んだ。

また,IJSP(石川県ジャパニーズ・スタディーズ・プログラム)というプログラム(外国から来られた研修生にホームステイと日本語の授業と文化体験を行ってもらうもの)で,フランス,ドイツ,イタリアから来た初級から中上級レベルの学生の日本語授業に参加・補助した。授業中,頻繁に教師が学習者に質問していて,学習者とのやりとりを大切にしていたのが印象的だった。また,学生と書道体験などを通じて親睦を深めた。

9月7日に石川県立図書館で行われた,「多文化共生フェスタ」では,インターンシップ生で「やさしい日本語ブース」を担当した。やさしい日本語を一般の方々に分かりやすく,楽しみながら学んでもらうことを目的として,病院や役所などの場面ごとに使われる日本語の文を,やさしい日本語に言い換えるゲームを考案した。取り組みを通して,やさしい日本語の認知度の低さに気づくとともに,「やさしい日本語についてよく知らない人に対して,分かりやすく説明し,楽しく学んでもらう」ことの難しさを知った。最終的に来場者の方々が楽しみながら学ぶ姿を見て達成感を得ることができた。また,来場者との交流を通して,自分の日本語を相手に合わせて調整しながら伝える力が鍛えられ,このコミュニケーション力は今後の社会人生活にも活かせると感じた。

実習を通して,石川県国際交流協会が国際交流・多文化共生・日本語教育・施設運営といった幅広い多面的な役割を担っていることがわかった。また,職員の方々がIJSPの学生と積極的に交流しているのをみて,信頼関係を築くことも重要な仕事であると実感した。職員の方々はインターン生の意見や企画を尊重し,主体的に活動に関われる温かく協力的な環境が整っているという印象を持った。業務や多文化共生フェスタの準備を経験する中で,改めて地域社会における国際交流活動の重要性を実感した。国際交流は特別な場だけでなく,地域に根ざした取り組みの積み重ねによって成り立っていることを理解し,今後も何らかの形で,地域における国際交流活動に積極的に関わっていきたいと考えている。

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藤白 涼子

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:専門学校アリス学園日本語学科

インターンシップの内容は以下の通りである。授業見学,研修①専門学校アリス学園と日本語学科の仕事の紹介,研修②ICT・生活指導について/授業準備について,研修③日本語教師としての仕事の概要説明,アルバイト会議見学,学科会議見学,寮見学,職員業務補佐,遠足参加。

今回のインターンシップを通して,一番驚いたのは専任日本語教師の業務の多様さである。これまでは日本語教師の仕事と聞くと授業で日本語を教えることが中心であり,それがほとんどだと考えていた。しかし実際には,日本語教師には非常勤講師と専任という立場の違いがあり,専任になるとその仕事内容は大きく変わることを知った。専任は授業だけではなく,生徒の金銭管理や進路指導,さらには生活面に関するサポートなど,学習以外の幅広い部分にまで責任を担っており,そのため日本語を教える授業をする機会がほとんどなくなってしまうということを初めて知った。また,アルバイト会議にも参加させていただき,新入生一人ひとりのために必要な人数分のアルバイトを確保するという取り組みをみて,専任教師の役割が単なる語学教育にとどまらないことを実感した。

また印象に残ったのは,先生方が生徒一人ひとりのことを非常に詳細に記憶されていた点である。実際にお話を伺う中で,生徒の性格や授業における態度,日本語能力にまつわることなどを把握しておられることが伝わってきた。そのような姿勢が私自身教育に携わり勉強しているものとして,非常に感銘を受けた。

今回のインターンシップを通して,さらに日本語教育に対する関心が一層高まり将来も日本語教育に携わりたいと感じた。学生との交流の中で楽しさを感じ,多くの学びを得ることができた。今後の進路を考えるうえで貴重な経験ができたと感じている。

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杉森 心奏

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:専門学校ファースト学園金沢校

5日間の実施内容は,留学生の受け入れ業務や生活支援の説明,授業見学,授業補助,座談会,アパート見学などである。

専門学校の日本語学科と聞き,ただ日本語支援を行っているだけだと思っていたが,その業務は多岐にわたっていることを知った。生徒受け入れの見極め,生徒の国(現地)での試験の実施,入国前後の手続き,生活支援など,数えきれないほどの業務を少ない人数でこなしている。特に生活サポートの面では,留学生に必要なことをすべて支援していることに衝撃を受けた。銀行口座の開設や携帯電話の契約,公共料金支払い,入居する部屋の家具の準備,病院への同行,アルバイト先の斡旋など,生徒の不安を一つ一つ解消するための先生方の努力が垣間見えた。どの先生方も生徒たちがこの先日本で暮らしていくことを見据え,将来を真剣に考えているということが一貫して伝わってきた。

授業を見学し,どの生徒も先生からの質問に積極的に答え,主体的に発言しようとする姿勢に感銘を受けた。日本語レベルに差はあるものの,真面目に勉強を積み重ねてきたことが十分に伝わってくる勤勉な生徒ばかりである。すべての生徒がある程度出身国で既に日本語を勉強をしているということもあり,初級クラスでも簡単な日本語を使えば難なく意思疎通できるレベルであることに驚いた。先生方も生き生きと楽しそうに授業をされており,生徒たちと交流することや,授業においてはあくまで「生徒が主体」であることを常に意識されている点が学びにつながったと思う。

これまで日本語教師(教育)の現場を見たことがなかったが,今回のインターンシップを通じてより選択の幅が広がったように思う。働く先生方の姿を見て,やはり魅力的な職業であることを再認識した。また生徒たちと交流する中で楽しいと思える瞬間ややりがいがたくさんあったので,今後の進路選択や就職活動に生かしていきたい。

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山元 琉聖

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:富山国際学院

本実習では授業参観,宿題採点,模擬授業など,教師としての一連の業務を経験した。日本語理解のレベルが異なる複数の授業を観察し,学習者の目標や理解度に応じた授業展開を実際に見ることで多様な指導法を学んだ。使用教材も多岐にわたり,文法中心型教材とCAN-DO基盤教材の使い分けを体感できた。

特に印象に残ったのは二点である。第一に,学習者の私語への柔軟な対応である。授業中に学習者が母語で雑談する場面があったが,教師はそれを咎めず「面白そうな話してるね,日本語でみんなに共有してみて」と促し,学習者の発話意欲を自然に引き出していた。第二に,語彙の言い換え技術の巧みさである。例えば「徐々に」という語の意味を問われた際,教師は即座に「少しずつ」と平易な表現に置き換えて説明し,学習者の理解を助けていた。その機転の利いた対応が学習意欲を損なうことなく学びを継続させていた点に感銘を受けた。

私が日本語教育のインターンに参加しようと思ったのは,大学での模擬授業の講義に苦手意識を持っていたからである。模擬授業を作成する際には「N1レベルの学習者を想定して」などの条件が設定されるが,私は「N1とは具体的にどの程度の語彙を理解できる人なのか」というふうに学習者像を明確に描けず,授業設計に実感を持てなかった。また,模擬授業の受講者は同じ講義に出席している日本人であり,多くの内容を難なく理解してしまうため,実際の学習者がどのような点で躓くのかを把握できない。

そのため,リアルな教育現場で学習者がどの程度の語彙を理解しどのような支援を必要としているのかを観察できたことは意義深い経験となった。特に富山国際学院では一日に複数の授業に助手として参加する機会をいただき,各レベルに応じた語彙の選択や説明の工夫を実践的に学ぶことができた。五日間という短い期間であったが,得るものは非常に多く,日本語教育の奥深さを実感する貴重な機会となった。

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山田 あぐり

(国際学類 日本語教育プログラム 3年)

  • インターンシップ先:東京早稲田外国語学校 本校
1.インターンシップの目的

本インターンシップに参加した目的は,日本語学校でどのような授業が行われているのかを知ること,そして東京という多様な環境にある日本語学校で多文化的な学びを経験することであった。

2.活動内容

インターンシップ期間中は,以下のような内容に取り組んだ。

  • 校舎内見学,授業見学,初級授業の進め方および業務説明,教案作成,授業実施
3.学び・気づき

今回のインターンシップで最も印象に残ったのは,日本語学校の授業の多様さである。大学生活の中ではなかなか見ることができなかった実際の授業の様子を通して,授業の工夫や教師の姿勢を学ぶことができた。

特に,場面を想定した導入,授業中の活発なコミュニケーション,視覚教材の多用などにより,生徒が楽しそうに学んでいる姿が印象的であった。これまで自分が作成してきた教案がワンパターンであったことを痛感し,今後の課題を明確にすることができた。

また,最終日には授業を1コマ担当させていただいた。教案作成や準備を通して,日本語教師として授業を行う際に必要な力(練習のバリエーション,時間配分感覚,文書作成スキルなど)を具体的に把握することができた。これにより,今後の大学生活で何に重点を置くべきかが明確になった。

4.職場の印象

学校全体として,あいさつやコミュニケーションが非常に活発で,笑顔が多い職場だという印象を受けた。説明を担当してくださった先生方や授業を見学させていただいた先生方だけでなく,他の先生方にも大変気を配っていただき,不明点をためらわず相談することができた。また,先生方同士のチームワークが良く,学生への声かけも丁寧で,人間関係を大切にしている温かい職場であると感じた。

5.今後に生かしたいこと

5日間のインターンシップを通して,これまで漠然としていた卒業後の生活を具体的にイメージできるようになった。受け入れ先の日本語学校の魅力に触れ,将来の進路選択の幅が大きく広がった。今回の経験を通して得た学びを,今後の授業や教案作成に生かし,日本語教育への理解をより深めていきたい。

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